さっぽろ地下鉄のなかでマルクスを呼吸する、世界を呼吸する

労働者の権利とグローバル化 公務員の基本権、東京新聞JCJ大賞など

暑かったわ。冷房なんてないので、職場では、「会議室に睡眠ガス撒いて、会議をやめさせよう!」という共謀が成立してました。

家に戻ると、暑さのせいでおきっぱなしにしていたジャガイモから、芽が20センチ以上伸びてました。すでにそれを芽とは呼ばないし、暑さのせいではなく、おいていた時間のせいだろうという説もあるのですが、さすがに道産の芋は生命力あふれてます。野菜のエアープラント化を趣味にしてはじめての快挙です。

販売系のサラリーマンが、職場に労基署から勧告があって、12時までしていた仕事が8時になったことで、無駄な仕事をしていたことが分かった、と言ってました。8時で帰るようになっても、以前と売上げは変らないんだそう。そんなもんでしょ、たいていは。

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残業関係で、気になったニュースを2つ。

1つは、ネスカフェのネスレ、グローバル・コンパクトに参加してるくせして粉ミルク事件のネスレです(暮らし・ネスレ社が標榜する「企業の社会的責任」の欺瞞)。

組合がOECD多国籍企業行動指針(外務省仮訳)違反でネスレをスイスのナショナル・コンタクト・ポイントに訴えたところ、おそらくそれもあってか、

3. 1ヶ月の所定労働時間を超えて勤務する場合、越えた時間は時間外労働。


と書かれた社内告知を会社側が出したらしい。ネットも国際機関も有効に使える時代です。

http://www.croceviaterra.it/contadini/cpe/oecd_complaint_nestle_swiss_ncp.pdf

ネスレをOECDに提訴
ネスレ争議の最近の重要な変化のあらわれ:レイバーネット
ネスカフェのネスレとCSR: ネスレをスイスにOECDで提訴
ネスレの社会的責任 - アムネスティがネスレOECDに訴えられるを紹介している

地球規模で活動する資本に対しては、国内的規制だけではなく、地球規模での合意を規制の根拠にしていくことがこれからはますます重要になると思われます。資本のグローバリゼーションに対して権利のグローバリゼーションが働く人々の武器になるはず。

2つめは、公務員の基本権をめぐるILO勧告。アサヒ・コムでみつけた記事です。行政改革推進本部が発足させた専門調査会では、公務員の基本権をめぐる連合の要求は実現困難だろうという内容。

asahi.com:公務員労働基本権の制約、具体論先送りの様相 調査会-政治

連合はILO勧告をテコにして、政府に実行を迫る足がかりとなるこの場の設置に、小泉政権が進める公務員削減に応じることでこぎつけた。……

だが、政府は「基本権制約は給与に関する人事院勧告などで補っている。ILO勧告通りにする必要はない」(高官)と強気。……


これでは、結局、削減だけされて基本権保障はなされない、欺されたようなものだ、ということにもなりかねません。政府は真剣に対応すべきです。

ILOの最新情報・お知らせをみますと、、3月の第295回理事会では次のように日本の公務員の権利制限が審議されています。

現在提案されている公務員制度改革が労働者団体と十分な協議がないまま進められ、公務員の労働基本権が依然制約されたままであるなどとして、連合や全労連などが行った申立も審議され、2002年11月、2003年6月に続く三度目の中間報告が出されました。委員会は、当事者間の対話の場の設置に関心をもって留意するとした上で、公務員制度改革並びに条約に含まれる結社の自由原則に沿った法改正に関し、早急に合意に達することを目指し、現在見られる努力の追求を強く奨励すると共に、協議の内容に公務員の労働基本権付与や消防職員・刑務所職員の団結権付与の問題などを盛り込むことを求め、今後も継続的な情報提供を要請しました。


ILO、日本に公務員への労働基本権付与勧告 : ニュース : ジョブサーチ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
連合|公務員制度改革に関するILO勧告に対する談話(事務局長談話)

いうまでもなく、これも地球規模での規制が権利の実現に不可欠という文脈でおきている事件です。

ちなみにアスベスト規制の条約は1986年に採択されているのに、日本が批准したのは昨年。労働現場の安全確保に対する意識の遅れを感じさせます。

最後にメモっておきたいのは、東京新聞JCJ大賞受賞。「こちら報特部」は共謀罪関連の特集記事を19回も掲載したそうで、私はその一部しか見ていないので、これから探してみるつもり。

日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞
スポニチ Sponichi Annex 速報
by kamiyam_y | 2006-07-28 21:37 | 企業の力と労働する諸個人