さっぽろ地下鉄のなかでマルクスを呼吸する、世界を呼吸する

所得倍増

▽ ドラマは見ないですけど、夜中にテレビをつけてしまったら、田村正和と常盤貴子のあいだが進展してる(って見てるじゃん)ものだから見てしまった。夜のテレビといえば通販、最近真空パック物ですけど、ど~なんでしょうか。私は何年か前に簡易エアベッドを買いましたが、いまだに梱包を解いてもいません(^_^;)

▽ 中川秀直政調会長が4%成長をめざせと言っているようです(msnニュースExcite エキサイト : 経済

インフレ大丈夫なんでしょうかね?もともと竹中平蔵総務相の歳出削減案の前提になっている予想が、高い名目的成長率とそれを下回る低い長期金利。成長で税収増し、低金利で国債の利払い負担を抑えるというわけですが、吉川洋東大教授をはじめとして与野党内外に強い異論反論があります(朝日新聞2006年01月04日)。

中川氏は「所得倍増」の手形も発行しているようで、もし年収300万円の人が600万円になるんだったら、けっこうなことでしょう。しかし、あたりまえですが、銀行券が表す価値を減らすことによって物価を上げるだけなら、豊かさが倍になるわけではなく、賃上げが追いつかなければ実質賃下げになります。物価上昇にもかかわらず金利も上がらないことは一般的に言えば、節約して貯金しても目減りしていくことです。

20年で所得倍増と言われたら、経済学部の学生でなくても疑問が山のように浮かぶのではないでしょうか。高度成長を支えたさまざまの条件のうちの多くは現在消滅しています。同じ労働時間で、獲得する生活手段(個人的消費の材料)が倍増するには、生産力倍増が必要だが、そのためには企業間競争における利潤拡大が必要となる。利潤拡大が賃金抑制によってもたらされるなら、その分個人消費が増えない。海外に販売先を求めることも、海外の生産者とコスト下げ競争することになり、やっぱり賃金は上がらない。あるいは、所得倍増なら格差是正策こそ必要ではないのか。金持ちの資産の海外逃避(要は脱税)を放置していいのか。経済は生き物だから無理な拡大路線は混乱を招くのではないか。日本の成長は財政再建のためにではなく世界経済を牽引するために必要なのではないか。成長ではなく成長の配当こそ問題ではないか。ワークシェアリングと時短の道こそ健全ではないか。等々。田中康夫もこの所得倍増論をからかってますが(「負け組も勝ち組になるかも」だと!? )、話は単純ではないということです。

▽ 日本は海外からの直接投資少ないですから、グローバルなインフラづくり自体は否定すべきではないでしょう。ハゲタカに残飯処理を頼めというわけではなく、成長のためにはアメリカ資本にくっついていろということでもなく、超国民的な貨幣や企業をどう利用するのか考えるべきと思うわけです。

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コイズミくんはこれを自分の批判者に向けて述べているのでしょうが、そうだとしたらコイズミ批判者も軽くみられているのではないでしょうか。日本の今までの歴史を見るかぎり、外資や外圧なしに根本的な変化はなかったといっても過言ではありませんし、閉鎖経済の主張が、人権・自由と民主主義、社会的公正と連帯といっしょにされたらたまりません。日本のシステムをどう構想していくのか、明快な展望がないと、コイズミくんを凌駕する魅力は出せないんじゃないでしょうか。「郵政」みたいに政局のテーマがしょぼいのもその点にかかわっているように思えます。国連人権委員会の勧告が完全というわけではないにせよ、人権と民主主義では先進国の中の後進国という状態から脱するためにも、時代イメージをきちんともつことが批判する側に必要なのかな、とも思えます。

ちなみに、『週刊文春』(2月16日号)が、皇室典範をめぐって、皇室を改革の対象にする小泉氏を批判しています(「『皇室も改革だ!』小泉首相不敬言行録」)。皇室を政治利用するのは不敬だなどというオカルト右翼に比べれば小泉氏は断然進歩的ですし、小泉劇場は衆愚政治で改革改革と左翼的すぎる、などと批判する右翼に比べればそのとおり、小泉氏は左翼でしょう。正社員とパートの格差はおかしいとまで言われてしまって、小泉氏は機を見るに敏です(皇室改革もNHKの報道見て取り下げてしまうし)。

▽ 居酒屋甲子園というNPOがあって、北海道は札駅の「香香颱風」が代表だったそう。天井に備え付けられた巨大な団扇が好きですけど。
by kamiyam_y | 2006-02-11 20:05 | 経済成長と生活