さっぽろ地下鉄のなかでマルクスを呼吸する、世界を呼吸する

特別剰余価値獲得を強いる部門内競争と相対的剰余価値の生産 【社会経済学の基礎用語】

資本の内的目的である剰余価値生産は、資本が外的に強制される連関として実在します(資本の実在化としての競争)。この連関は、事後的に労働の生産力の上昇をもたらし、これが資本主義時代の歴史的使命を規定することになります。
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単純な例解です。ある商品を生産する部門が、3つの資本からなりたっていて、それぞれ上中下の生産条件をもつとします。労働の組織のしかたや地理的条件、用いる道具など生産条件が標準的なもとで要する労働時間が価値を規定したことを思い出して下さい。ここではとくに労働手段の優劣をイメージしましょう。労働の生産力とは具体的有用的労働の作用度で、価値とは抽象的人間的労働の対象化でした。

それぞれの資本がすべて60c+20vからなるとします。価格の単位は何でもいいです。生産条件が異なれば、同じ労働時間でも消費する原材料など異なってきますが、ここでは全部無視。異なる部分はすべてただだとして、60cはあくまでも共通の何かがあることにしましょう。で労働者の人数も労働時間も同じ。ところが、使用価値としての量、現物形態の量は異なってきます。同じ過去の労働、生きた労働の量が、生産条件上の資本では120個に帰結するので、一個あたりに対象化している労働は生産条件下のもとでのそれよりも小さい。上の資本の1商品に対象化している労働は価値として尺度されれば0.83。言いわすれましたが、剰余価値率は100%です。

価値は社会的に妥当するので、下の資本だからといって一個あたり1.25では売れません。逆に、上の資本は1よりも安く売っても特別な剰余価値を得られます。

総資本としては180c+60v投下され、剰余価値を60生産する。一個あたりの1の価値。生産条件中の商品がこれに等しい。この例では、一個1で売られるとして、生産条件下の資本は剰余価値を実現できず、上の資本はその分の20の剰余価値を特別に得てしまいます。で、上の資本が安く売ってシェアを拡大したり、中の資本を買収したりして、下の資本は淘汰されましょう。資本家個人が生産力の増大など目指さないとか、剰余価値などいらないと言ったとしても、このように資本を強制する運動が作用するのです。ついでにいうと、「イノベーションが利潤の源泉」といった資本家的幻想をつくりだし、それを実践的契機にしているのが、こうした資本の運動。

こうして、上の生産条件がやがては中になり、この商品の価値が低下。この流れが、必須生活手段生産部門と、そこで消費される生産手段を生産する部門におよび、必須生活手段の価値低下が進めば、労働力価値の低下、必須労働時間の短縮が起きます。労働日の短縮率よりもこの短縮率が大きければ、剰余価値率は上がります。これが相対的剰余価値の生産。上記の説明では、個別的必要労働時間と個別的価値社会的必要労働時間と社会的価値という用語は使わないおきましたが、余裕があればこうした言葉も用いて解説できる方がいいと思います。

剰余価値生産とはそもそも必須労働時間に対する剰余労働時間の延長でした。労働日自体の延長による絶対的剰余価値生産は、物理的に限界があるのはもちろんのこと、標準労働日の普及により制約されます。つけくわえておけば、労働者の標準的な生活手段の範囲が拡がることは、相対的剰余価値生産を制限する要因となります。

by kamiyam_y | 2017-12-27 23:57 | 資本主義System(資本論)