さっぽろ地下鉄のなかでマルクスを呼吸する、世界を呼吸する

民主主義対原発資本:民主的協同管理による原発複合体の解体を、民主的社会形成による成長主義からの脱却を

20世紀の《自然=社会=人間》の到達点は、資本主義における世界史的な個人の形成としてまとめることができます。労働する個人は、その個々の人格的な社会的な形態として民主主義と人権の主体となり、その環境世界への延長として社会化された生産手段と労働組織、世界市場を資本のもとで発展させました。人間の「物質代謝」の延長された姿が世界市場であり、ここに資本の自然発生的競争に委ねられた無政府的な社会的分業が成りたっています。

世界市場が直接には経済成長第一主義の力として存在していることによって20世紀の問題群が生まれ、これに対する政策理念の破綻を通して、新たな社会づくりの必要が示されているのが現在です。諸個人は、制御できない成長主義という形をとった自分自身の環境と対峙し、この環境すなわち世界市場を自覚的な管理に吸収するという課題を負って存在しています。

温暖化と労働問題、企業の権力といった地球的問題が20世紀のマイナスの到達点として残されており、これを解決するには、まさに《自然=社会=人間》という存在世界が安定した形を取ること、人類社会の形成により世界市場をコントロールすることが不可欠です。

国際社会と民主主義の発展のなかで原発も問われています。原発利権で儲けた人が死んだ後にも事故の処理が続けられる。

福島原発の廃炉作業に最長100年…英科学誌 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
福島原発の安全性回復には1世紀の時間が必要=英専門家(サーチナ) - livedoor ニュース

斉藤和義も「この国を歩けば 原発が54基」って歌ってますが、この狭い地震列島に54もある。

反原発の曲がネットで話題 斉藤和義さんが歌う動画 - 47NEWS(よんななニュース)
斉藤和義 news / 音楽情報サイト:hotexpress
斉藤和義、原発批判のセルフカバーを公開「ずっとウソだった」 – ロケットニュース24(β)

YouTubeとか動画投稿サイトで検索すれば見れます。歌詞をつけてアップしてる人もいます。

ニュースがわかる・災害:原発が被災、大事故に/3 原発頼りの日本 - 毎日jp(毎日新聞)

福島第一に現れた問題は原発全般を貫いており、地震も津波も電源喪失も「想定外」というのが普通だったのか。多重防護による安全確保のウソ。

東日本大震災:震度6強余震 原発のもろさ再び露呈 - 毎日jp(毎日新聞)
asahi.com(朝日新聞社):国内原発の大半、安全対策に難点 長期電源喪失想定など - 東日本大震災

大半が地震や津波を想定した安全管理システムに欠陥を抱えている。建設先にありきの建設の不合理さが急速に露呈してますね。

放射性物質にしても数万年年もの間それを封じこめておく箱はありえないのに、今の世代の産業活動の廃棄物が危険なままに子孫に渡される。

無政府性の絶頂ともいうべきひどい話ですが、これを問題できるのも曲がりなりにも民主主義と国際社会が形成されているからです。

民主主義と国際社会において地球市民の一員として日本の大衆は東京電力と政府を監視し、情報公開を要求し、少しでも被害を抑えるように努力していかねばなりません。

何といっても市民社会による企業の監視を自覚的に遂行していくことです。世界人民の一員として日本列島の人民は、貨幣の権力の東電的堕落的発現を抑えていかねばならないはずです。

政府は自らの混乱を民衆に投影し怯えています。混乱を避けると称して情報を隠し低い危険評価を重ねた政府に対して情報公開を求め、監視することもまた地球社会における日本の大衆の責務。東電や政府の首脳の安心報道をオウム返しすることで安心しようとする全体主義的感情が残存しているとすればそれは廃棄されねばならず、ましてや事故の影響に恐怖する海外の人々を嘲笑するかのような態度が取られることがあるとすればそれはゴロツキ的な野蛮な恥ずべき反応でしかありません。

16日朝刊の『日経』1面の「電力不足4」という記事に、外務省が経済産業省に「万が一の場合」を質問したところ、「誰がどこでどれだけ電力を使っているのかは、東電しか分からない」と回答されたとありました。河野太郎も計画停電を批判するなかで次のように書いてます。

経産省は、これだけの計画停電を国民に強いておきながら、この需給調整契約は東京電力と契約者の民間契約なので、この契約に基づいた供給抑制については公表できないなどという。/需給調整契約の内容の詳細の説明すら、経産省は民間の契約だからと拒み続ける。/原子力発電関係でもよく見られる「国策」と「民間事業者の商業行為」の使い分けだ。

河野太郎公式サイト | 計画停電でいいのか

公共性を隠れ蓑にして私利追求をしているくせに、社会的生産組織としての情報公開を求められるや、突如「民」と言い出して、私的所有を楯にして隠すのが資本主義企業の常態です。

生産過程を社会的生産過程として社会的に公開させ、生産から発する権力を監視する。日本の市民は国際社会との協調のなかでこれを徹底させていくことが求められています。

国際的であることはまた地域的でなければなりません。地域とは物理的な場所ではなくまさに人間の直接の社会的空間。世界の問題は鋭く地域の問題として現れます。

自分を囲み守っている大気のような地域社会、自分がそこに他者との絆をつくりだしてきた地域社会をフクシマの原発事故が襲い、それに中央政府の中途半端な対応が拍車を掛けた。

飯舘村でも積算線量1万マイクロ・シーベルト超 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

飯舘村周辺放射能汚染調査チーム(今中哲二・遠藤暁・静間清・菅井益郎・小澤祥司)「3 月28 日と29 日にかけて飯舘村周辺において実施した放射線サーベイ活動の暫定報告」2011 年4 月4 日
Greener World : 飯舘村周辺放射能汚染調査暫定報告の発表と対策について
NEWSポストセブン|原発から30km圏外の飯舘村 地形原因で汚染大気集まりやすい
飯館村「人が住めるレベルではない」 京大助教らが現地調査-北海道新聞[道外]

「人災」被害の集中する飯舘村の住民に「直ちに」ではない健康被害が最低限に抑えられるように力を集めねばなりません。

現地で調査した今中さんと正反対なのが生きた原発資本である御用学者共。GEの設計者が欠陥を40年前に指摘していた、という記事が『日刊ゲンダイ』にあり、この隣に掲載されていた次の記事(18日号発売16日2面)。

ゲンダイネット

設計寿命を先月終えた福島原発1号機にあと20年使えると「お墨付き」を与えたのが東大関村教授なのだと。原発ムラの学者は万死に値します。

そんなに「安全」と言うのなら、テレビに出るのではなく原発ムラの科学者たちは現場へ行け! 君たちにも責任があるだろ | 経済の死角 | 現代ビジネス [講談社]

東電から『寄付講座』名目で約10年にわたり合計5億円ほどのカネが流れている。


産学協同という社会的生産の資本主義的形態を媒体として、原発資本が東大教授を自らの操り人形にしている。東電資本が原発教授の口を借りて語っていることよ。政官財学メディア(東電労組を加えてもいい)の原発複合体のカネに学者が群がりこの複合体を推進する倒錯に、原発複合体がそれに群がる原発ムラの成員を手足にしている倒錯。

「現代ビジネス」のこの記事の2で、経産省OBが次のように発言しているのに注目。

彼ら〔原発ムラの中心メンバー(引用者)〕に共通するのは、「日本は核兵器を作る能力を持っている」という自負で、自分たちこそが技術系の最先端だと信じています。…・」


やっぱりそこかよ。原発推進の動機のなかに核兵器生産能力を誇示する願望。

東電のカネに支配された研究者を利用するメディアもまた東電のカネをたんまりと飲んでいる。

青木理が「ASAHI NEWSTAR | 朝日ニュースター」の「ニュース解説 “眼”」で電力会社のカネの権力のすさまじさを伝えています。4/7の回では、青木さんは、原発の危険性を告発する大阪毎日放送のドキュメンタリー(今中さん、小出さんら京大研究者を軸に取材した「なぜ警告を続けるのか 京大原子炉実験所・異端の研究者たち」)を夜中に放映したことに対して関西電力がMBSに行った広告引き上げなどの激しい「恫喝」を暴露してました。

4/6(水) 電力会社と知識人 ニュース解説 “眼”
4/7(木) 電力会社とメディア ニュース解説 “眼”

電力会社が貨幣を配って代弁者をつくる。メディアは偽造された公共性になり、物書きは電力会社からエサをもらう番犬となる。なんという醜悪さ。

社説:震災後 地震国の原発 政策の大転換を図れ - 毎日jp(毎日新聞)

「こうした現実を踏まえ、大災害を転機に、長期的な視点で原発からの脱却を進めたい」
「…原子力による電源に頼らなくても、豊かに暮らすための知恵を絞りたい。/そのためには、温暖化対策で注目された再生可能エネルギーの促進や低エネルギー社会の実現がひとつの鍵となるはずだ。地震国日本に適した電源と、それに基づく暮らし方を、今こそ探っていく時だ」


社説:震災後「低エネ」社会 日本モデルは可能だ - 毎日jp(毎日新聞)

「長期的には太陽光や風力による再生可能エネルギーの拡大だ」
「…3・11の意味をもっと前向きにとらえたい。エネルギー制約を逆手にとって、日本を低エネルギー社会の先進国に転換していく覇気をふるい起こすべきであろう」


『毎日』社説がこのように脱原発と再生可能エネルギーへの転換をとるべき選択肢として打ち出した。このことは、エネルギー政策が技術の問題ではなく民主的社会形成のための総合的政策の一環にほかならないことを3.11の悲惨な経験のなかで人々が知り、成長主義からの脱却という理性的展望を共有しつつあることを意味するように思えます。

14歳アイドルが原発のリスクを語るブログが話題に 孫正義氏も「同意!」とツイート - ネタりか

「今の原子力に頼らない電力の生活に社会全体のシステムを変えればいいのです。変えれますよ」というアイドルの発言は正しい。問題は技術ではなく、新たな社会づくりであり、システムの変革を語るときに、原発利権的現在のシステムを前提にしてその内部で解答しようとするのはまちがいです。
by kamiyam_y | 2011-04-17 23:18 | 成長主義と環境