さっぽろ地下鉄のなかでマルクスを呼吸する、世界を呼吸する

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無罪再審

今朝の新聞でとくに丁寧に読んだのは、道警のおとり捜査の犠牲になったナバショーラフ氏の無罪確定の報道でした。拳銃を挙げよという組織の命令のもとで実行されたおとり捜査によって逮捕され、服役までさせられ人生の大切な時間と名誉を奪われ、97年11月から19年を経ての再審無罪判決、よかったです。権力における組織の病理は個人の人生をおしつぶす威力。

UHBのニュース。テレビ番組を見たのは久しぶり。テレビを持っていないので。
ホッカイドウニュース:UHB北海道文化放送

地元北海道新聞が一番詳しかったように思いますが、WEB版はあっさりしていて、紙媒体の方が図もあって充実していました。

『毎日新聞』は、再審開始を導く証言をした稲葉元警部補に取材しています(2017年3月8日13版北海道、29面)

最後の段落に「当時を知る人は葛藤を抱えている」とありますが、関わった人たちは組織の力に服し違法な捜査に手を染め、罪なき人を生け贄にしたのですから、内面において引き裂かれ、罪悪感と「葛藤」に苦しまされましょう、まともな人なら。続けて、稲葉氏は「逮捕」はされたが、「ある意味で幸運だった」と振り返っています。不正を暴露し、いわば赦しを与えられこの「葛藤」から解放されたのですからね。

by kamiyam_y | 2017-03-08 23:25

Respect for Diversity and Individuality : Universal Human Rights

BiSHのニューシングル"プロミスザスター”のCDを予約してあるのですが、すでに2日にMVが公開されたので聴いてしまいました。歌詞を読みつつ何度か真剣に観ました。「楽器を持たないパンクバンド」BiSHとしては大人しめと最初思ったんですけど、聴き込むほどにやっぱり魂を激しく揺さぶられます。熱いです。大画面で暗い部屋で見るのがおすすめ(たいていの曲はおそらくそうですけど)。中年老年メロコア・エモマニアを泣かせるアイドルの出現に人類の大進歩を感じ尽くしてしまいます。

他にここ数日間よく聴いていたのは、水曜日のカンパネラWednesday Campanella の新アルバム"SUPERMAN"です。歴史上の英雄や神をタイトルにした曲は、「しつこい汚れやさびも」「モンプチカルカン」「脇の下サラサラ」「江古田」といった私たちのなじんた消費資本主義、都市資本主義の日常の言葉の用いて構成されていて面白い。ありふれた世界こそがスーパーマン的なものに結晶しながらそれを分解するとでもいえましょうか。とりわけ気に入ったのは、"Genghis Khan"で、「締めにうどん食う」には心が和みます。"SUPERMAN"については次の記事。「一休さん」のMVの解説があります。私はこのMVをこれまでぼーっと観ていたため、この解説を読んでからもう一度鑑賞しなおしました。

01:29あたり壁に「快速豊胸」というチラシが二枚。危険そう。

このアルバムではないのですが、「桃太郎」という曲があり、半年前に夢に出てきました。「きびだん、きびきびだ~ん」というフレーズを口ずさんでいると、まわりにいる人たちが怪訝な顔で私を見ます。メロディーがおかしいかなと不安になったら目が覚めました。ニューアルバムも聴きこめば夢に歌詞が再現されるのでしょうか。期待。

こちらはコムアイのインタビュー。「桃太郎」についても語っています。

「次の時代」は「多様性」。「白一色」でなく「多様性」。コムアイに手錠で歌わせるのが戦争であり、完成したファシズム。「多様性」は戦争と全体主義をその最大の敵として批判するのです。

1月27日の『毎日新聞』の「余録」で、自由の女神の台座に刻まれたエマ・ラザルスの詩が取り上げられていました。これこそは生まれた土地に拒まれ絆を失い苦悩する諸個人individualsを受け入れる普遍的な「自由の国」アメリカの偉大な世界精神というべき。「多様性」diversityを否定しようとする矮小で不寛容、排他的なアメリカは、アメリカとしてその精神を表した人類にとって自身を否定する苦痛であり、破壊にほかなりません。

アップルのクックも、フェイスブックのザッカーバーグも、友や家族の心を引き裂き、愛を引き裂く大統領令を批判しました。個人の尊厳、人権を守るというグローバル企業の社会的責任からしても、諸個人のグローバルな出会いと陶冶、多様性の尊重が経済のグローバルな成長に、世界的生産発展に不可欠であることからしても、先進的な企業のあるべきリーダーは、自国の大統領の恣意よりも普遍的universalな正義を遵守しなければなりません。人権human rightsは権力に優位します。

国益主義、自国第一主義は何よりも平和的生存権にとっての最大の脅威です。3月5日の『毎日新聞』「時代の風」欄で「歴史に学ぶ姿勢のない」「自国中心主義者」が「自国中心主義が20世紀前半の世界でどれだけの人命をあやめたか」知らないと藻谷浩介氏が述べていますが、まさにその通りだと思います。

「権威主義」「排外主義」「安直な保守」は「社会を自壊」に導くのであり、保守ではない、「消去法」で「リベラル」を選択するというこの小文の最後の箇所については、この文章の大筋は賛同するので触れなくてもいいかなとも思うのですが、敢えて言っておけば、この論理は保守として自分を規定する人まで説得する論理ではありますが、積極的な展望のない不満な選択の永久化のようで、物足りない感じを受けます。保守に徹すればリベラルに転化するというように単純に対立する二項はそれぞれ徹すれば止揚されます。保守の立場に立ちながらリベラルに徹することも可能ですし、リベラルの顔をしながら内実は反動でしかない知識人もよくいます。現代システムの展開は対立項の相互浸透を鍛えあげ、単純な対立を現実はすでに超えているともいえます。とはいえ、重要なのは、それだけではなく、現代システムにおける基本的対立の止揚が、実態的な国家主義に対する追認ではなく、自由な個人のもとに実態を否定的に包摂することでなければならないということです。この点を踏まえ、自由主義Liberalismを個人を原点とする現代の社会原理とすれば、まさにそれは「消去法」で選ぶような「安直な保守」の否定にとどまらず、社会形成の積極的な力として構築していき、内容を豊かにしていくべきものでなければならないでしょう。

リアーナRihannaも早速"an immoral pig"と呼び、侮蔑と嫌悪を適切に表現していました。

"プロミスザスター"のMVにも「豚野郎」って看板が出てきたな。

マドンナの"Fuck You"に感動したと前回書きましたが、リリー・アレンにはタイトルがずばり"Fuck You"という曲があります。偏見にとらわれた差別主義者を軽蔑する内容です。

サウンド的にはこちらのほうが好きですけど。3:02に出てくるステージ背景のバルーンをよく見てください。

"LILY ALLEN HAS A BAGGY PUSSY"ですね。

文学に関心のある方は、次の『日経新聞』の記事を参考にして、「マイノリティ」に焦点を当てた作品を読むといいかも。

トランプを批判する自由で開明的なアメリカの裏面に浸食していたトランプを生み出すアメリカの方は日本では見えてきません。伝統的に民主党が支持されていたにもかかわらずトランプの支持基盤に転換した工業地帯、ラスト・ベルトRust Beltに入り込んだルポはゆえに貴重で、興味深い。

Rust Belt(錆びた地帯)はかつて、鉄と自動車の生産を軸とする資本が、労働組合と協調し、高卒のブルーカラー労働者に住宅をはじめとする生活手段を保障してきた地帯。世界経済におけるアメリカの圧倒的な力を土台にしたパクス・アメリカーナと、労働者階級の消費拡大を資本蓄積に取り込むフォーディズムとが崩壊し、この地帯を容赦なく資本主義的蓄積の一般的法則(資本蓄積は貧困の蓄積)が作用しているというのが抑えておくべき文脈でしょう。

この本には、オバマが好きだが今回はトランプにという人も登場します(94-95頁)。こういう人がトランプに期待するものとトランプ政治の現実は一致しないでしょう。金権政治批判という正しい感性も、トランプ旋風のなかの反エリート主義においては反知性主義に吸収され、形成されるべき変革への期待も破壊への渇望という堕落形態に落ち、労働者の統一性は、政治的圏域のなかで、反エリート、反エスタブリッシュメントの非合理でヒステリックな激情と脱真実post truthの反文明的な言説をまとって、排外主義という反動的で非現実的、非人間的な偽の統一性に解体して現れています。著者が言うようにヒラリーの方が貧困問題解決に積極的であり、トランプがブルーカラー労働者の味方とは考えられません(116頁)。民主主義国家の統一性にふさわしくない野蛮で堕落した下劣な個性を、貨幣の力の人格化が一部の人々の目に改革者の姿に反転し、大統領にふさわしいと取り違えさせているにすぎないのであって、この哀れな不動産成金が献金からの潔白を標榜するのは、自己労働による所有という聖なる標語をあまりにねじ曲げた悪い冗談でしかありません。この取り違え、幻想を介してそれに埋没した人々がねじれた力のなかに吸着しあい、非永続的な偽の友情にまとめあげられているにすぎません。

大統領令に対して連邦地裁差し止めを命令したのも当然といえば当然ですが、さすがだなと思いました。地方自治と三権分立という権力抑制のしくみが働いています。池上彰も2月20日の『日経新聞』の「池上彰の大岡山通信 若者たちへ」で三権分立の「見本」と言ってました。

オバマがシカゴで行った退任演説farewell speechはやはり格調が高く、理性的で魅力的、胸を打つスピーチでした。

04:40あたりをご覧下さい。この箇所は、こちらのテキストの方が正確。

邦訳もいくつかあります。

We, the People, through the instrument of our democracy, can form a more perfect union.

"We, the People"という呼びかけは、日本国憲法前文の原理(人民主権)ですね。デモクラシーによってuniteし、社会をつくる。

For 240 years, our nation’s call to citizenship has given work and purpose to each new generation. ・・・・・・It’s what pulled immigrants and refugees across oceans and the Rio Grande. It’s what pushed women to reach for the ballot. It’s what powered workers to organize. It’s why GIs gave their lives at Omaha Beach and Iwo Jima; Iraq and Afghanistan — and why men and women from Selma to Stonewall were prepared to give theirs as well.

Citizenship(市民権/公民権)は生きた個人の社会的能力です。この相互承認における能力が諸個人をその追求に突き動かし、移民と難民を海を越えて引き寄せたことを述べています。エマ・ラザルスの詩そのもの。

演説全体を通して重要なことが多く語られていますが、ここで注目したいのは「セルマからストーンウォールまで」の箇所です。セルマはキング牧師の率いるデモを弾圧した「血の日曜日事件」。

ストーンウォールはLGBTの解放運動の歴史的起点とされるストーンウォールの反乱のこと。オバマはこの抵抗運動が行われたストーンウォール・インを昨年ナショナル・モニュメントに指定しています。

再びストーンウォールに人々が結集。TSの生徒のためにオバマ政権が出した通達をトランプ政権が撤回したことに対する抗議運動です。

Citizenshipを軸とする民主主義的諸関係を現代の社会システム総体はその自覚性のモメントとしています。しかし、現代システムは、その土台において分裂という統一であって、このことが、民主主義的諸関係がそのままでは現実総体を貫かないことを明らかにし、民主主義的諸関係を担う諸個人に課題を与えるのです。民主主義的諸関係が有機的な生き生きとしたものであるならば、それは路上での主張であれ、議会での討論であれ、NGOの活動であれ、個人の自由と人権を発展させる諸モメントを連結し、過程を通過する統一性に発展せざるをえないのであって、排外主義の空気は決して民主主義の「自筆の遺言状」(註)を書き終えたことを意味するわけではないのです。

 「諸民族は、小心な不機嫌な時代には最も声高な扇動家たちによって内心の不安をまぎらわせようとしたがるものだ・・・・・・普通選挙権は、全世界の目の前で自筆の遺言状を作り、人民自身の名において『生じてきたいっさいのものは、滅びてさしつかえのないものだ』と宣言するためにだけ、つかの間生き延びたにすぎないように思われる」(『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日[初版](平凡社ライブラリー)』植村邦彦訳)

by kamiyam_y | 2017-03-05 23:59 | 現代グローバリゼーション

Worldwide Anti-Trump Protests : Women's March on Washington

20日に開かれたロンドンの米国大使館前のProtestに参加したLily Allenが、早速 24日の日付でそのときの熱気をおさめた動画をMVに用いてカヴァー曲をYou Yubeにアップしていました。

リリー・アレンが金曜日の集会に出席したことは例えば次の「イブニング・スタンダード」の記事。

Stand Up To Racismが準備した”NO TO RACISM NO TO TRUMP"というプラカードがこの映像では目立っていますが、"STOP TRUMP'S NUCLEAR ARMS RACE"、"TRUMP:CLIMATE DISASTER"などもあります。"Don't scapegoat migrant"という文字も見えます(02:51)。"THIS PUSSY GRABS BACK"と書かれた横断幕も素晴らしい(02:19)

Trump Tower前のmarchではRihannaも"THIS P***Y GRABS BACK"という文字をあしらったピンクのファッションで参加してます(リアーナのインスタhttps://www.instagram.com/rihannadaily/。ピンクといっても多くの種類がありどれかはわからないのですが、RよりもBよりの薄い桜のような感じ。キャップと合わせている服はパーカーとチュチュを合体させたみたいなもので、これまた何と呼んでいいのかよくわからん。爪がキュート。

2017年1月の最も人類史的に進歩的で有意義な記憶にとどめておくべき出来事は、頭に詰めた被害妄想をデマ口撃で吐き出すTrumpという低劣な個性の就任ではなく、LAで、アトランタで、NYで、ボストンで、アトランタで、オースティンで、パリで、メルボルンで、プラハで、Tokioで、自由平等を、Human Rightsを希求する真に人間的な人々が女性大行進として意思を表したこと、人間の愛的本質、人間の尊厳、個人の尊厳を踏みにじるセクシズム、レイシズム、ゼノフォビア、ホモフォビアに対してNoを突きつける大行進に、世界各地で開催され連帯するAnti Trumpの大行進に無数の諸個人が集まったことです。Guardianで見てみましょう。

63年の大行進の精神は2017年の女性大行進において世界中で立ち上がり、世界的な自由な諸個人がその実在を力強く証明しています。万人の自由と平等はまさに万人の自由と平等であるという民主主義の気高い精神は、ここでは抽象化された姿態ではなく、人間の類的本質の現実性として遍く意識されています。21日のワシントン女性大行進を写したロイターのスライドショーをご覧下さい。とくに20枚目がいい。

23枚目は腰に手を当て堂々としたポーズの卵巣卵管膣子宮ですね。自己決定権の象徴。鮮やかなのは5枚目。行進をピンクに染めるpussy hats /pink hats。次の記事の言葉を借りれば、"Pussy Power"は世界を変革する。性的自己主張が闘いの武器。

Pussy Powerという言葉は、ロイターのスライドの37枚目にも出てきましたが、プロジェクトのサイトにPower of Pussyの解説があります。

Pussy hatはこうやって編みましょう。

Madonnaの"The Revolution starts here"(02:21)はまさにその通りだと共感します。また、"Fuck You"(03:47)という言葉にこれほどの感動を覚えたこともありません。Trumpに集約される非人間的な力に反対し、個人の尊厳を、人間の人間たるゆえんを取り戻すことを訴え、自由な個性と自由な友愛との同一を証しているこの空間の共有において、Maddonaが自由と平等、unityを求める無名の私たちを代表しているともに、私たちもまたMadonnaと同じく人類("Love")を代表しています。

ちっぽけでちんけな妄想にとらわれたグロテスクな個性が、人間が生存競争に駆り立てられ引き裂かれている畜群的様相を表出するのとは対照的に、疎外された、自己分裂に引き裂かれる現実のなかでも光を放つ人間本質の実在を女性大行進は誇り高く示しているのです。

by kamiyam_y | 2017-01-26 21:54 | 現代グローバリゼーション

国際立憲主義International Constitutionalismの徹底へ

減少傾向が確認されたとのことですが、撲滅すべきものですから撲滅しましょう。減ったとはいえ、その被害者の心の痛みを思うとつらい。
ヘイトスピーチ、3年半で1152件 政府が初の調査:朝日新聞デジタル

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樋口陽一・小林節『「憲法改正」の真実』(集英社新書、②小林哲夫『シニア左翼とは何か』(朝日新書)、③『世界 別冊 2015年安保から2016年選挙へ』と3冊新刊を買いました。①で思ったのは、近代の乗り越えではなく、ポスト近代の乗り越えだということ(90頁以下参照)。「個人」抜きというのは危険なんですよ。③は冒頭の小沢と志位の対談など面白そう。

最近のストリートデモクラシーで脚光を浴びているのが、学生やフリーターやママです。華があって絵になりますし、戦略的にも見せ方を考えて行っているわけで。③が着目しているのは、この新たな潮流に感激してデモにやってくるシニア層。70年安保世代やさらにそのうえの戦前を生きた60年安保世代などです。ほんとにSEALDsがめんこくて(=かわいくて)しかたないんですよ。私の知人もスピーチを繰り返し見ては涙を流し、先生の授業なんかより大事ですよと暴言を吐いてました(笑)。かれらがSEALDsを評価する理由が挙げられているのですが(59頁以下)、また自分たちのかつての運動に対する反省もこめていたり、謙虚です。ちなみに評価しない2割の理由として挙げられているのは、「民主主義」「学者」を敵視するような何の進歩のない決まり文句でした。SEALDsが警察にお礼をいうことに対しては、みな賛成しないらしいですが、ここは微妙。権力に対して卑屈だとでも思うのかな。ただの権力組織の末端の個人につっかかることを権力との対峙とか権力に対する闘いと勘違いしてるなら、今時バカすぎるでしょでおしまい。警察の力を利用するくらいの度量が必要ということを若い人たちは分っていると推察する知性が望まれるところでしょうか。むろん権力による思想統制、政治活動の統制には十分警戒しなければいけないのは当たり前であり、警察がデモを押さえこんだりする側面があること、それには抗議すべきことは当然として。また、警察が安全確保の業務を行うのはただのなすべき仕事であり、それを行わせるのは国民の権利ですし、感謝するというマナーのよさ、よき道徳をアピールポイントにすることには賛同できないという視点もありうるわけですが。ともあれ不要につっかかるべきではなく、また自然にありがとうと口に出るならそれもよろしい。警官と雑談したって権力の手下になるわけでない。

以下は関連してメモ。

国際立憲主義Constitutionalismの徹底へ

1 民主的諸個人の連帯の時代―国境を越える民主主義へ
あるべき未来への選択肢は、人権と民主主義の徹底である。労働が生み出した諸個人の対象的世界は、資本の力として諸個人に対立して自立化している。民主的・国際的・協同的に諸個人がこれを自己の対象・環境として制御することが、人類社会の創造である。

2 新自由主義は自律した体系として存立できない
一国的な社会的調整のハードルを下げ、企業拡大を世界市場的にめざす「新自由主義」的圧力は、破綻する。そこに現代の先端の問題が提起されている。

3 民主主義の真価
新自由主義の自由は、生きた個人の自由ではなく、資本の自由である。資本は、地球的生産発展の必然の力を秘めつつ、蓄積の一般的法則である貧困の蓄積をもたらす。民主主義はその経済的な対象をこれにより獲得している。

新自由主義は国家の権威主義的再編、偏狭な国家主義による統合と手を結んですすむ。「新自由主義」と「国家主義」の「マッチポンプ」(中野 22頁)がみられるようになる。日本の場合は「復古主義」(同上 25頁)が近年あらわである。

4 平和主義と国際主義の位置づけ


〔前文〕 日本国民は…われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。…これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

第9条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
○2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

第97条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて…現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。


平和主義の徹底は、社会の原理を自由な個人を起点とする人民主権に転換する軸である。それは、「軍国主義を導いたしくみを徹底的に排除」するという「公共空間の再構築」(石川a 225頁)の土台をなしている。平和に生きる権利を国際協調に徹することで人類に実現しようとする意思は、立憲主義と民主主義の徹底である。

立憲主義は国際的に追究されねばならない。集団的自衛権は「国際立憲主義」構築において「消滅」すべきである(最上 110頁)。NGOによる国際貢献に対しても、危険を増す。「特定の国と軍事的に提携することは、NGO活動を助けるどころか、かえって危ういものにする」(磯田 83頁)

5 立憲民主主義constitutional democracyの危機

第99条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。


憲法空洞化は、権力が人民から独立した主人になろうとする衝動の端的な現れである。憲法違反を批判されても居直る、自由と民主主義の破壊(クーデター)を許してはならない。

現政権を貫く指向性は、「『権限濫用』の禁止と『自由濫用』の許容」から「『権限濫用』の許容と『自由濫用』の禁止」へという「まっとうな立憲主義」から「外見的立憲主義」への退行である(石川b 67-70頁)。実例は枚挙にいとまがない。

引用文献
石川健治 a 「『非立憲』政権によるクーデターが起きた」(長谷部恭男・杉田敦編著『安保法制の何が問題か』岩波書店、2015年
   ― b 「環境権『加憲』という罠」(樋口陽一・山口二郎編著『安倍流改憲にNOを! 』岩波書店、2015年
磯田厚子「PKOの武力介入が失敗したソマリアの事例」(谷山博史編著『「積極的平和主義」は、紛争地になにをもたらすか?―NGOからの警鐘』合同出版、2015年
中野晃一 『右傾化する日本政治』(岩波書店、2015年。書評として、五野井郁夫「リベラルも小異捨て」『東京新聞』2015年9月13日
最上敏樹 「国際法は錦の御旗ではない」(長谷部・杉田編前掲書)

by kamiyam_y | 2016-04-30 22:55

Current Affairs

相対的過剰人口の現代的形態における命の露骨な使い捨て。
はてなブックマーク - 人材派遣会社寮で34人が結核感染1人死亡 | NHKニュース

選挙のためには自由な団結を抑圧するんだな。社会の膿にすぎないような政治家の膿を喜んで舐めるネトウヨバカウヨの類が口真似するベ。安倍のクソウヨ性は社会のクソ安倍性に呼応する。
安倍政権が共産党を「破防法の対象」と閣議決定! 露骨なネガキャンと共産党排除はヒトラーと同じ手口だ|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見

権力機構をチェックする新聞の努力は市民社会にとって大切です。毎日が道警関連の記事を連日載せていました。
北海道男性死亡:「うそで情報開示拒否」遺族が道警提訴へ - 毎日新聞
北海道警:身内に甘い処分…ひき逃げや横領、懲戒せず - 毎日新聞

人類の進歩に対して敬意を払わないどころか、敵意をもっているんだべ、戦後罪悪の現政権。
東京新聞:法制局長官が異例発言「核使用は憲法禁止せず」 非核三原則堅持のはず…:特報(TOKYO Web)

選挙制度に対する冒涜だわ。選挙をもてあそんではいけません。
「勝ちそうだから解散、いただけない」 河野元衆院議長、政権にダメ出し連発:朝日新聞デジタル

第六十九条  内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。


これ首相の無限定な解散権を規定しているとはもちろん読めません。そこで次の7条を使うわけですが、どうよ。

第七条  天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一  憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二  国会を召集すること。
三  衆議院を解散すること。

by kamiyam_y | 2016-04-03 19:36

Anti-Trump Protesters at the UIC on Friday

資本による収奪に苦しむ人々にとって敵は多様なルーツをもって社会を構成する多様な他者ではありえないにもかかわらず、反知性主義と下劣な偏見の権化であるおかしな人物の扇動に失業増大などが惹起する不満が吸収されること、排外主義の肥大を反射し露骨に表現する物神にすぎない異常な人物を英雄視する偽コミュニティの形成が、多様性の相互承認を社会から排除して諸個人の生を分断し、真のコミュニティ(人間の絆)を破壊しようとすることというのは、どこか向こうの話ではありえず、先進的な諸個人がその真に自由でインターナショナルな本性を発揮してのりこえるべき共通の問題の1つです。疎外された者が疎外された者を標的とする疎外、外部に異質なものを攻撃対象としてでっちあげるすりかえが、資本蓄積の対立性から目をそらさせるとはいえ、貧困の蓄積、資本主義的蓄積の一般的法則は貫徹し露呈するのであって、労働する諸個人の連帯と友愛、正義の力は普遍的であり、現代のやっかいな病理を必ずや解決するにちがいありません。ノース・カロライナのトランプの集会で、幻想上の共同体の魂とは暴力なりと心得てか、抗議の若者に暴行を加え逮捕された78歳の、カウボーイハットの老人は"kill"とまでインタビューで答えています。デマゴーグdemagogueのいかれた頭に共鳴してなんと狂信的な。CNNから。
Trump rally attendee: We might have to kill protester

Trump的妄想への熱狂を暴力で体現するのは、その殴打シーンの映像が米国中に流されてしまったこの爺さんだけではない。これはタイム。
See the Violence Against Protesters At Donald Trump Rallies | TIME

ババアがナチサリュートしてるし。
Donald Trump Rally In Chicago Canceled After Protesters Turn Out In Droves

金曜の晩、シカゴでの集会を囲むプロテスターたち。
Chicago protesters: "We stopped Trump" - Videos - CBS News
Protesters gathered outside Donald Trump rally

抗議者たちへのインタビュー。18歳の学生がレイシストracistを支持すべきではないと語ってます。
Donald Trump supporters, protesters clash in Chicago - CNNPolitics.com

このHuffington Postの記事であげられた証拠を点検してはいないのですが、この人物が良識あるまともな人々から激しく軽蔑されてきたことはわかります。
Here Are 9 Examples Of Donald Trump Being Racist

これは、ニューヨーク市長による批判。
New York Mayor: Donald Trump uses 'racist appeal' - CNNPolitics.com

University of Illinois at Chicagoは、この記事によると、学生の半分がヒスパニックとアジア系。良識と知性の府であるというだけではなく、すぐれて国際的。
University of Illinois community wants Trump rally booted from campus - Mar. 10, 2016

各地にわかれてばらばらに育ってきた人類が1つになって多様な個性をのばしていく豊かで楽しい世界を創造していく時代がはじまっています。諸個人の交通の地球的で急速な発展が、新たな世界を創出しつつあり、この創出は、けっして一直線の単純なものではなく、この手の、野蛮なゲマインシャフトに回帰する誘惑に絡め取られる病理を除去していく闘いも含んでいます。創意をよせあい智慧を集めて社会づくりをし、社会的人間として自らを創出していくなかで、人類がこうした敵対を過去のものとして笑う真に自由な時を迎えることでしょう。
by kamiyam_y | 2016-03-14 01:52 | 現代グローバリゼーション

From current affairs

リアーナRihannaの"Anti"のなかにいくつか気に入ったものがあってよく聴いてるんですけど、ネット世代から世界的に評価を得ているようですから人と同じものを聴いてることになってしまうな。と悩みつつも、周りの人とリアーナがどうとか話すことはないので、ここには”Never Ending”はいい曲だと書いとくかな。
Anti (album) - Wikipedia, the free encyclopedia

リアーナの出身のバルバドスは、2つの政党が交代しつつ政権を担当しているようです。民主労働党Democratic Labour Partyとバルバドス労働党Barbados Labour Party - Wikipediaという2つの労働党。

日本の民主党は維新からの出戻り連中のために名前変える必要はないと思いますが、「民進党」って明治を懐かしむ維新とはいえ明治大正の政党名みたい。ま、20世紀にも新進党ってあったが。
民主と維新:党名「立憲民主党」か「民進党」14日に決定 - 毎日新聞

立憲という当たり前のことをわざわざとも思えますけど、これに自由をたして立憲自由民主党にして自民党と紛らわしくする作戦があるとすれば、これは名前としてちょっと長い。自由民主という建前はただの形式にとどまるなら経済の実態では搾取の自由に転換するので、搾取自由党という党名が自民党にはふさわしくみえますが、搾取じゃ党名にならん。建前ですべての政党が一致してはじめて土俵が同じになります。国家主義党なんて名前はだから怖すぎます。実態を隠すのにも建前は必要か。

先週の『日経MJ』(3/4)の一面にトラック業界の劣悪な労働条件についての記事がありました(「ネット通販 黒子の疲弊」)。商品の運搬は使える形態になるという新たな有用性を生産物にもたらすことで、そこには資本と労働が、生産手段と労働がコストとして投入されるのですから、「送料無料」というのは本質的にありえない話。物流に対して、自然の恵み、空気と同じ扱いをすることは、そこで働く人の労働を自然の恵みとみるに等しく、労賃を無に近づけることを意味しましょう。でもこれって資本の一般的な願望ですね。

『週刊プレイボーイ』(年3月14日号、集英社)掲載の覆面座談会「乗ったら危ない「激安バス」の裏側を運転手、旅行会社社長らが語り尽くした!!」でも、こちらはバス運転手ですが、過酷な労働が語られています。安全のコストも空気にしたいのが資本の欲望。
激安バスツアーの苛酷な実態を赤裸々座談会「ドライバーの待遇が劣悪すぎる」 - 社会 - ニュース|週プレNEWS[週刊プレイボーイのニュースサイト]

海の向こうの事柄には本質を見抜いて、共同性の幻想的支配の内側では虚偽意識を流布する分裂。
トランプ叩けど安倍首相には弱い 大新聞が振りかざす“正義” | 日刊ゲンダイDIGITAL

日本の果てるところで、アベ的なものの本質に含まれているものが公開されているともいえます。アベの御用メディアの国家主義・全体主義に濁った頭でさえ、遠くの対象という形をとるならばノイズが落ちて透けてもみえ、トランプ的個性という露骨で下劣な姿によって容易に理解できるということです。
by kamiyam_y | 2016-03-11 23:48

Bags of Radioactive Waste in Fukushima

福島の惨事から5年。3・11に関連し、重要と思われる記事や、力のこもったいい記事がありました。そのうちのいくつか。私たちは、たえず問題意識を失わないようにしたいものです。

事故が収束してもいないのに、再稼働の既成事実化をすすめようとする動きに司法判断として牽制。
高浜原発:運転差し止め 稼働中、初の仮処分 大津地裁 - 毎日新聞

森林も除染しないと、動物は移動するし、安心できないはず。
福島県知事:「森林除染せず」方針に見直し要求 - 毎日新聞

生活空間を奪われ、健康も奪われ。
東日本大震災:福島第1原発事故 被災者糖尿病リスク 事故後、6割増 南相馬・相馬 - 毎日新聞

コミュニティも森も田畑も消え、自分をはぐくんだふるさとがいまや、放射能汚染土をつめこんだ黒いフレコンバッグflexible container bagが積み上げられた核のごみため場にかわってしまった、その悲しみがいかほどのものか思わざるをえません。
Fukushima Daiichi NPS today- 5 years since the disaster began ~Nuke Info Tokyo No. 170 | Citizens' Nuclear Information Center
記者の目:東日本大震災5年 福島・飯舘村を歩く=井上英介(東京社会部) - 毎日新聞

これ仮においてあるだけで、ポリエチレンですから、予想できるように、破れてしまいます。
除染廃棄物314袋が流出、うち3袋破れる 福島・飯舘:朝日新聞デジタル

原発ビジネス優先も、保育園待機児童問題も根は同じ。山尾志桜里って元気ですね。2/29の予算委員会の質問、全部は見てないですけど、安倍政権を「都合の悪い声は徹底して却下する」と批判したのは愉快痛快。
山尾しおりのブログ:山尾しおり(山尾志桜里)/衆議院議員/民主党 愛知県第7区 総支部長/瀬戸市・尾張旭市・長久手市・日進市・東郷町・豊明市・大府市
by kamiyam_y | 2016-03-11 00:03

自由な諸個人free Individuals/freie Individuenの民主主義Democracy/Demokuratieの徹底

公園の樹木の枯れ枝にも新緑に育つ小さな芽が見えはじめ、冷気と氷雪に閉じ込められた数ヶ月から脱出したと思っていたら、今朝家を出ると一面の白の世界。吹雪いていて、氷点下6度ですが、とりたてて寒くはない。暖かい建物のなかにずっといれば、少し外に出る程度であれば、そんなん真夏の東京で時々冷房の効きすぎた部屋で寒い思いをするようなもんだ。というのは少し大袈裟かな。

イオンは生ラムがおいてなくて道民仕様になってないなと思っていたんですが、何日か前に鮮魚コーナーでまんまるのゴッコを4匹みました。鱗のないぬめったぶよぶよの姿はインパクトありますけど、唐揚げ美味そう。
函館の冬の味覚、ごっこ汁が味わえる店 | 函館市公式観光情報サイトはこぶら
ごっこ汁・唐揚げ・バター炒めが美味!道南の冬の味覚『ごっこ』とは? | 北海道ファンマガジン
今日見たら、解体されてパック詰めされてました。


喫茶店で何冊か読みました。

吉村武彦『蘇我氏の古代』(岩波書店、2015年)。古代王権による統治を支える社会的分業組織としての「人制」「部民制」の説明に興味をそそられました。つねに大枠しか見ないですけど、自然発生的な人格的依存関係の形態で社会的分業が形成される様をイメージできます。

田中浩『ホッブズ―リヴァイアサンの哲学者―』(岩波書店、2016年)。ホッブズの社会的意味づけはイギリス資本主義の発展が与えたと読みました。「忘れられた思想家」であったホッブズの受容をたどると、労働問題の深刻化など産業革命以降の諸問題によって彼が浮上・再評価されたことが分かる。「自由・平等」という「労働者階級の考え方」の水源は彼の「政治原理」にある(ⅺ頁)。マルクスと同じく、エピクロスに着目していたというのが面白かった(37頁)

大浜啓吉『「法の支配」とは何か―行政法入門―』(岩波書店、2016年)。ホッブズにおいて社会システムの原理を人間に転換した地平の転換を確認したつぎに、「敗戦後70年を経た今日、明治国家の齎した歴史の惨禍から、何を学ばなければならないのか」(ⅳ頁)を問う本書に目を通しました。「『法の支配』の根底にあるのは、『自由で平等な尊厳ある個人』と『社会』の観念」(ⅴ頁)。明治憲法下の「法治国家論」がまだ残存していること、日本の議院内閣制の抱える問題など関心をかきたてられます。

中野晃一/コリン・クラウチ/エイミー・グッドマン『いまこそ民主主義の再生を!― 新しい政治参加への希望 ―』(岩波書店、2015年)。この本のなかで、新自由主義を「企業の力による統治」と捉え、民主主義の復権という深刻な問題を「ポスト・デモクラシー」という言葉のもとに提起しているコリン・クラウチ「私物化される政治と国家」は、政党と社会運動とがお互いを敵視せず連携する必要を訴えて結んでいます(14頁)

この点からしても、北海道5区補選において「市民の会」の働きかけを介して候補統一ができたのは必然的といえましょう。統一の意義を十分に理解しない党員や支持者の無気力・サボり、古い世代の権威主義的人格の残存の影響を懸念していたのですが、野党すべてをまとめるにはいたらず、ベストであるとはいえないまでも、とりあえず、よかった。
北海道5区補選、野党一本化 共産、候補取り下げ池田氏支援 | どうしんウェブ/電子版(政治)

憲法違反勢力の国会支配を止めるには1人区の候補統一が不可欠。
クローズアップ2016:共産1人区取り下げ 参院選、7区で逆転も - 毎日新聞

本書の最後の論考である中野晃一「自由な個人の連帯へ」を読んで、私がとくに紹介したいと思うのは、「自由」概念の再考(52頁以下)という論点です。自由が「巨大企業」の自由に転換し「空疎」になっている(53頁)現状に対して、「個人の尊厳と密接不可分」なものとして再定義する意義を中野氏は政治学的に論じているといえましょう。氏は『経済』3月号のインタビューでも、昨年の安保法反対の運動について、「個人の尊重」を軸とする「多様な連帯」を実現したという新たな一歩を踏み出した点を評価しています(「安保法制廃止の運動と日本の民主主義」『経済』第246号、2016年、20頁)。SASPLのデモに参加したときの「衝撃」(22頁)も興味深い。「若いという凄さ」に素直に感銘を受けています。

中野氏の本からやや離れて、『資本論』に、自由な諸個人の存在諸条件の産出、システム総体の否定性の運動を理論的に表現する人類史的なシステムの自覚の書である『資本論』に敷衍してみましょう。「企業の自由」とは、労働する諸個人の普遍的諸力の客体的自立化が諸個人の意識に出現することであり、「資本の蓄積過程」論における「取得法則の転回」論がつかむ事柄にほかなりません。自然と人間の媒介、人間と人間の媒介を実践する諸個人の社会的労働の力は、そこから諸個人自身を分離・抽象すること(自己の客体的諸条件からの自由と、形式的だが自覚的な社会形成者としての自由である法的自由という二重の意味において自由である労働者の発生)から出発して、いまやグローバルな市場と企業の力として実現しており、ここに発展した社会的労働が、法的にのみ自由であった諸個人に対して、連帯しそれを自己の支えとして再吸収するように求める。真に豊かで自由な人間社会の形成とは、この諸個人とその普遍的諸条件との安定したシステム的統一の実現であり、疎外・矛盾という運動においてこの方向が顕在化する。この把握が「資本の蓄積過程」論であり、それは疎外の極限としての今現在の現代社会をつかんでいます。諸個人自身の個別性と社会性の分裂、社会的労働の個別性と社会性の分裂。この完全な展開、頂点が資本なのでした。他人の所有の領域に実現した生産諸力を、自然的社会的普遍的諸力を自己の延長として「自由な諸個人」が自己のもとに包摂しかえすことが、疎外を疎外する未来の産出なのでした。

社会形成の主体としての個人に定位する民主主義を、他として現れた自己の力である資本に対して徹底していくこと。これしかないのです。

by kamiyam_y | 2016-02-25 01:31 | 企業の力と労働する諸個人

Personifikation, Personifizierung 2

千葉県の建設業者は600万円を投下して2.2億円に化けさせる貨幣の運動を実現するために、システムとしての甘利(秘書が担っても甘利の行動)をその媒介の経路とし、手段とし、甘利の側も600万円を仲介手数料として授受したわけですね。

甘利氏秘書「事務所の顔立てて」 URが面談内容一部公表 :日本経済新聞

相互不信にもとづく相互的手段化。秘書が、圧力はいかんとし、UR職員が関与をやめるよう忠告するなど、良心の呵責からでしょうか、相互に依存もする。

ちなみに、この日経の記事は紙媒体ですと、「不当な影響力疑われる行為」と見出しのついた正木宏長立命館大学教授のコメントがついています。

溝口敦の批評。
政治家も暴力団もフィクサー稼業の凋落 | 日刊ゲンダイDIGITAL

URからさらなるカネを毟れなかったので、建設業者は腹いせに「あっせん利得」を暴露したってことか。

溝口はこの事件に政治家の「フィクサー能力」の衰退を見てとり、「結構なことだ」と結んでいます。

歴史の進歩ね。公共性の蓄積に照らして透明性が求められ、大物という動物をアイコンにしてそれを介して人々が自らのエゴを突き通そうとする行動が、政治家のユスリ・タカリやらなにやら露骨な脅しでカネをせびることやらなにやらが、淘汰されていく時代の到来。

*タイトルは「人格化」を意味するドイツ語。「諸人格Person」は「経済的カテゴリーの人格化Personifickation」としてのみ扱われる、という『資本論』第1版序文の有名な1節をはじめとしてマルクスが用いる言葉。
by kamiyam_y | 2016-02-02 23:03