さっぽろ地下鉄のなかでマルクスを呼吸する、世界を呼吸する

あまりに当然な自民党の記録的大敗(補足)

先々週くらいでしたか、バーでとなりになった社長(呼び名ではなく、月収数百万円のほんとの社長)が、酔っぱらいながら「アベはうよくだからだめだ~」と繰り返してました。グローバルに儲けていく会社の業績にとって戦前回帰的主張は困りますし、改革という言葉が雇用を増やすわけでもありません。

参議院議員の議長の座を失うことが自民党始って以来なら、これこそ戦後レジームからの祝福すべき脱却というべきでしょう。「私と小沢さん、どちらが首相にふさわしいか、国民に聞きたい」という安倍自身の発言を尺度にすれば、彼は、民意なくして首相の椅子に座り続けるのだ、ということを自ら宣言し続けていることになります。

近代的な憲法の原理から後退する共同体回帰的な、国家主義的な幻想に着色された「美しい国づくり」のための悪法が制定されない前に、こういう形で民意が表現されていればよかった、とも感じないわけではないのですが、強行採決の連続があったからこそ、民も安倍の本質に気づいたともいえるので、まああとからいっても仕方ないかと。

「美しい国」という主観的な基準を持ち出す鈍感さがすでに憲法の原理に対する無理解を物語っています。憲法に日本らしい伝統を書き込もうとすること自体、権力を制限する「立憲的意味の憲法」を理解していない。

《単数形で民族を語ることのもつ意味の破局的な効果に、私たちは敏感でなければならない》(樋口陽一『「日本国憲法」まっとうに議論するために』みすず書房、2006年、30頁)


道徳を国法に書き込むのは17条の憲法や武家諸法度の話であり、共同体的な自然発生的な観念を権力が持ちだすのは、「立憲的意味の憲法」に対する逆立ちした幻想です。

幻想のために安倍は小泉劇場の遺産を遣い込んでいるのか?

信濃毎日新聞の社説の次の一節も、今回の選挙結果のなかに、小泉劇場の贈り物を、自分の幻想(として現れるような幻想)のために用いたことに対する民衆の批判を読み取っています。

信濃毎日新聞[信毎web]|社説=自民大敗 安倍政治が拒否された

首相は教育基本法を改定し、改憲に向けた国民投票法を制定するなど、「安倍カラー」を打ち出し始めた途端に、国民から厳しい採点を突き付けられた。

衆院の与党の議席は、2年前の郵政選挙が残した“置き土産”である。安倍首相が自分の力で手にしたものではない。


小泉は、参議院で否決され廃案になった郵政民営化法案の是非を「民営化」そのものの是非として宣伝し、強引な衆議院解散総選挙を「民営化」について民意を問うとして実行しました。民営化法案の民意をつかって安倍は教育基本法改悪をしたわけです。

「カネと政治」「消えた年金」問題は、もちろん民衆諸個人の共同の産物が不当に消尽されてしまったことであって、これが安倍に対する民衆の拒絶感を増大したことはいうまでもありません。
by kamiyam_y | 2007-08-02 22:21 | 自由な個人の権利と国家 | Trackback
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