さっぽろ地下鉄のなかでマルクスを呼吸する、世界を呼吸する

ネズミとお菓子工場5

菓子箱に虫が入っても、「情報」には入りませんし、腐ったケーキは味と臭いで分かりますが、「情報」は舐めてみることもできません。ついでにいえば、菓子屋は潰れてもテレビ局は潰れず、ユスリカ混入によって菓子屋から創業者一族が追い出されても、「事務所費」疑惑によって国政にすむ病んだ人々が追い出されることはないようです。

《大手菓子メーカー「不二家」(本社・東京)の菓子箱に虫が混入するトラブルが05年に発生していたことが18日、わかった。》asahi.com:不二家のスナック菓子 05年、箱に虫混入

沖縄タイムス社説 2007.1.22

「あるある大事典」は、測定やら大学教授のコメントやら架空のものを垂流したわけです。ここで「情報」という商品の欠陥を、菓子箱にユスリカが眠っていた事件と比較するのは野暮というべきでしょう。

「レタス快眠作用」もねつ造、実験担当の教授が指摘 YOMIURI ONLINE
livedoor ニュース - [番組ねつ造]98年放送「レタス快眠」も 実験の教授証言

によると、捏造は以前にも。マウスの実験ではレタスを食ってもよく眠れるというストーリーは裏付けられなかったのに、番組では、実験内容は改竄され、レタスを食うとよく眠れるという話にされていたのだそうな。

長村洋一教授のもとの発言(健康食品管理士認定協会)には、「所さんの目がテン」という番組のディレクターは対照的に番組を断念したというとりあえずふつうの話もあります。

「イソフラボン」ではなく、「集中力を高める石」や「お金がふえる石」「彼氏とうまくいく石」であれば、だれでも気休めのための迷信とわかるでしょうし、わからない人は「ダイエット効果のある焼け石」ならわかるはず。

迷信は疑似科学と地続きであるという命題は措いておくとしても、情報番組に呪文や祈祷はあってならない。やはり「実験」なのですね。

事物に潜む本質を知るさいに私たちが「実験」を用いる場合があるのは、仮説を肯定するためにではなく、批判するためにです。というか、反対材料を検証することによって肯定(実証)するのであって、反証によって仮説の誤りがわかればそれも前進です。

もともと、ある物語を主張するために情報を得ようとすると、捏造や改竄はしなくても都合のいいデータのみもってくる、という落とし穴にひっかかります。だからどんな実験も怪しい、のではなく、だから、実験は厳密に、です。

主観に都合のいい話ではなく、対象の側を知る。そのためには主観がおちる落とし穴をできるだけ避けるために、知をコントロールする。実験手続きは知の手続き。

私たちは、都合のいい材料だけしか覚えていないといった振舞をふつうにしてますから、それを自覚的に制御するために学問や科学といった知の手続きが共有されてるわけで。

様々の要因をコントロールしないでほんの数人のデータだけで結論づけるお芝居自体が、捏造以前に無限に捏造なのだというべきでしょう。これを正当化するのが「バラエティー番組」という名称ですが、捏造とあっては正当化できない。不祥事が正常化への道を用意する契機になるのは不二家もフジテレビも同じか。

明日も労働力を売るために、科学を応用して身体の維持に努めようとする振舞自体は当然のことですし、私も健康ドリンク好きですけど(笑)、食品どうしの組み合わせからも、成分のマイナスの影響からも解放されて、たった1つの成分だけで御利益があると考えること自体おかしいです。

安心を得られればウソでもいいのだとする消費者の欲求が、このような捏造の土壌にあるのだとは言うまいと思います。けれども、利潤追求の圧力がモラルや法という社会的基準の衣を破ってしまうという病が商売界に蔓延するのも、消費者の批判意識が眠り込む度合いに依存しているようにはみえないでしょうか。捏造がばれたおかげでまあ、正しい知識を得る消費者の権利はその分覚醒したのかもしれませんが。

番組の情報が特定業者に放送前から流されていたという、番組の広告化には触れないでおきます。

asahi.com:〈裏切りの演出:上〉「あるある」事件、健康志向の果て-テレビ・ラジオ-文化芸能
by kamiyam_y | 2007-01-28 23:02 | 消費者の権利と社会的労働 | Trackback(1) | Comments(0)
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Tracked from 平太郎独白録 親愛なるア.. at 2007-01-29 10:34
タイトル : 藤がサクラに変わった不二家にみる桑の木を切った教訓。
親愛なるアッティクスへ 最近、不二家が色々と世間を騒がせて居るみたいですね。 藤井一族の「藤」で不二家だったんですね。 初めて知りました。 私も、幼少期をペコちゃんで育った世代ですから、事の是非は別にして、不二家が凋落していくのを目の当たりにすることには、一抹の寂しさを禁じ得ません。 (私が、幼稚園の頃、通園路には、大きなペコちゃんの看板がかかっておりました。) でも、社長が藤井さんから、桜井さんに変わって、創業者一族以外からの社長になった・・・と言ったところで、要は、筆頭株主は藤...... more