さっぽろ地下鉄のなかでマルクスを呼吸する、世界を呼吸する

資本主義は地球を被って未来を招く

きのう道庁に1万人集まったんですね、駒大苫小牧の報告会。

非正規雇用の若者と話をしていたら、自分は生涯かかってもドラフトの契約金も稼げない、老後のための貯金も無理だ、と言ってました。労働力というモノの貯水池に落とされるという経済の実態が、人を孤立させてます。

関係ないですけど、だれか風邪を一瞬で治す薬くれないかな。


資本主義は地球を被って未来を招く

今週会社を素材にして書いたときに(会社法)、グローバル資本主義の展開を変動要因としてあげました。資本の国際展開は、大企業による小企業の吸収や、大企業の分身の創出を迅速にすることを要求します。

東レが中国に「高機能ポリプロピレン長繊維不織布(PPスパンボンド)およびその高次加工品の生産・販売を行う新会社を設立」すると発表しました。"TORAY"のプレリリースから。

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TORAY | 中国での高機能ポリプロピレン長繊維不織布新会社の設立について

2006年8月23日

中国での高機能ポリプロピレン長繊維不織布新会社の設立について

 東レ(株)はこの度、中国において、高機能ポリプロピレン長繊維不織布(PPスパンボンド)およびその高次加工品の生産・販売を行う新会社を設立することを決定しました。新会社名は「東麗高新聚化(南通)有限公司」(略称 TPN)(仮称)です。中国江蘇省南通市の経済技術開発区内で2006年10月に設立し、2008年2月から操業を開始する予定です。

 東レグループのPPスパンボンド事業は、現在、韓国の子会社である東レセハン(Toray Saehan Inc.(略称TSI))で展開しています。年産49,000t規模の設備を有し、韓国国内はもちろん、日本、中国、ASEANなどアジア各国へ向けて幅広く販売していますが、今後の中国での急速な需要拡大を見込み、この度、中国での生産・販売を開始することとしました。本計画は、東レグループが事業基盤を確立している中国南通地区に生産拠点を持つことによって効率的な投資が可能となり、また輸入品対比で物流コストを削減できることから十分に競争力を発揮できると考えています。

導入する設備は、豊富な実績を持つドイツの不織布設備メーカーの最新鋭マシン(能力:年産18,000t)で、スパンボンドとメルトブローを組み合わせた多層不織布を生産します。〔以下略〕
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韓国と日本と中国をまたがる企業連合が成立するわけです。しかもマシンはドイツ製。面白れえなあ。中国での販売拡張を予想して、生産点も低コストの利点を生かすべく中国につくる。

こんなふうに、国境を越える生産過程のつながりが日々成長しています。

「二重革命」によって近代社会が始まったといいますけれど、資本主義は市民革命と産業革命によって生まれたのではなく、それを日々遂行するシステムです。

市民革命を日々実行するのは現代では賃労働者です。権利の追求と実現の主体は、現代では、労働する諸個人です。市民革命は労働者の権利として地味に日々追求されています。

産業革命は労働過程の不断の変革です。科学を媒介とした計画的な協働が日々追求されています。この社会的労働の発展の現代的局面がまさに《情報化》であり、《知識資本主義》にほかなりません。

資本主義はこの両面から日々革命ですから、この不断の革命によって未来を引き寄せていくといえます。よりていねいにいえば、社会的労働はすべて直接には資本の力として実現しますから、この力との対立によって、権利の実現を鍛え上げていくのが資本主義ともいえます。

プルードン派社会主義は「ブルジョア社会の実在的な姿態と観念的姿態とのあいだの必然的な区別を概念的に把握しない」(Gr.,S.172)。「貨幣システムは事実、平等と自由のシステムなのであるが、このシステムがさらに発展するなかで自由と平等の前に妨害的に立ちはだかるものは、このシステムに内在する妨害要因なのであり、……交換価値が資本に発展しないようにとか、交換価値を生産する労働が賃労働に発展しないようになどというのは、かなわぬ願いであり、ばかげた願いでもある」(Gr.,S.172)。


平等と自由のシステムは、資本という生産関係を屈折して表出する形態として、存在します。ということは、この「観念的姿態」の完結したありようを、資本は、みずから突破する形で、存在します。自由と平等の人権的システムは、その実現のために、自立化した社会的労働の力と対立していく。労働する諸個人が自由と人権を実現する主体となるわけです。

資生堂やトヨタといった巨大資本も、需要喚起・販路獲得に必死です。『フジサンケイ ビジネスアイ(日本工業新聞社)』から。

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FujiSankei Business i. 中国/資生堂、トヨタなど、中国メディアを相次ぎ招待(2006/8/24)

中国が日本企業にとって大きなビジネス市場となる中、中国メディアを招き、自社や日本への理解を深めてもらおうとする日本企業の戦略が本格化してきた。資生堂は今月6~10日、新華社通信や女性ファッション誌などの記者14人を日本に招待。靖国神社参拝問題などで日中関係は政治的に冷え込んでいるが、日本企業はイメージアップに躍起だ。

資生堂は中国全土に約1300店に上る専売店(チェーンストアに相当)を抱え、10月にはこれら店舗に置く中国人女性向けの新ブランドを発売する。今回のメディアツアーは新ブランド広報活動の一環で、記者は東京・銀座の本社や静岡県掛川市の企業資料館などを取材した。〔以下略〕

トヨタ自動車も以前から中国メディアを日本に招待してきた。7月末には人民日報などの記者2人が同社の日本での環境事業を取材した。毎年中国人記者を日本の各都市に招いている全日空北京支店は、同社の航空ネットワークや安全性、サービスを実感してもらい、日本に旅行する中国人観光客をつかむ戦略だ。〔以下略〕(北京=時事)

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化粧品メーカーが1000を超えるチェーンストアを経営しているんですね。おしゃれ産業で世界の人を楽しませてほしい。車も日本は飽和してますから、省エネ・環境対策技術や安全対策、内装、快適さなど追求すると同時に海外展開も至上命題でしょう。観光も日本にとって重要なところだし。

享受の多様化は資本主義の歴史的存在権であり、資本の文明化作用の発現です。

貨幣が狭隘な民族的偏見を超えていくさまを感じます。貨幣は、自立化した交換価値、過去の労働の普遍的な代表、労働の共同体ですから、民族的偏見のような狭隘な衣装を脱ぎ捨てていくわけです。

剰余価値に規定された生産は、空間的時間的制限を縮減するよう作用します。資本のグローバルな展開は資本の本性にあったものです。

「剰余労働の立場からすれば……資本にもとづく生産あるいは資本に照応する生産様式を普及させようとする傾向をもつのである。世界市場をつくりだそうとする傾向は、直接に、資本そのものの概念のうちに与えられている」(Gr.,S.320)。「資本は……交換のあらゆる場所的制限を取り払って、地球全体を自己の市場として獲得しようと努めないではおられず、……時間によって空間を絶滅しようと努め……ここに資本の普遍的傾向が現れる」(Gr.,S.438)。「世界市場。ブルジョア社会が国家をのりこえて押しひろがること」(Gr.,S.187)。


企業は競争の圧力(それは資本の局限された本性が外的な法則となったものだが)に動かされていくわけですが、その意図せざる結果として、孤立していた個々の生産を国境を越えて連結し、生産と消費の循環を地球的な連関においてつくりだします。資本の前提は、私的所有と私的労働という狭い前提ですが、資本の展開は、意図せざる結果として、この前提をくつがえす社会的生産過程を鍛えあげていきます。

「世界市場……の自立化についてこのさいいわせてもらえば、それは貨幣諸関係(交換価値)の発展とともに増大し……世界市場では、すべての人々との個人の連関が、他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性が、この連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をもすでに含んでいるほどの高さにまで発展を遂げている」(Gr.,S.93-94)。


資本の発展は地球的な規模で実現していくことによって、自然と人間との相互交流の発展、分散した過程の社会的過程への発展、人々の相互依存の発展をもたらしていきます。

この巨大な社会的過程は、諸個人から独立した物象的な関係の力として実現します。自然の変革も労働の社会化も、労働する諸個人から分離した力として実現します。

「労働者は……労働価格に対する権利だけを受けとるのであって、この労働の生産物に対する権利も、この労働の生産物につけくわえた価値に対する権利も受けとらない……世界市場の創出……は、労働者を富ませないで、資本を富ませ、従ってただ労働を支配する力を増大させるだけであり、ただ資本の生産力を増大させる」(Gr.,S.227)。


賃労働者は人格化された労働力であり、彼は自分の普遍的な環境である生産諸条件から引き離されています。資本の世界的関係は直接には、諸個人から独立した物象的な関係であり、統御されざる法則です。

あらゆる問題が地球規模での制御を要求する現代は、この力を、諸個人による民主的で協同的な統御によって運転するものに変えていくことを課題としています。労働問題も格差も解決のために国際的な合意が生みだされている時代です。

図式化してしまうとこれに対して、前世紀は国益主義に諸個人が従属させられていた時代。中ソ超大国が、社会の発展を大国の覇権拡大という地政学的問題にすりかえた(山口正之『社会主義の崩壊と資本主義のゆくえ』大月書店、1996年、序章参照)のも、資本主義の発展が辿るなかで現れた歴史的諸条件がとった姿にちがいありません。国益主義という前世紀のマイナスの贈り物を清算していくことも新世紀の課題です。
by kamiyam_y | 2006-08-25 19:24 | 現代グローバリゼーション | Trackback | Comments(0)
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