さっぽろ地下鉄のなかでマルクスを呼吸する、世界を呼吸する

焦燥2

私は建物の地下一階フロアの奥にあるバーのような店で、そこの休憩室に座っている。消灯していてほぼ闇である。

深夜をすぎビルは閉鎖の時間が迫っている。私は地下街に出て、階段を上る。登りきって地上に出るとビルの1階はつぶれた飲み屋が何件も続き、どこもドアに板が無造作に釘で打ち付けられ、板もまた風にさらされ裂けている。

登ってきた階段をふりかえると、下で人が手を振り、急いで戻ってくるように相図している。

バーのようなに戻ると、暗い店内では、ほのかな赤いライトの下で店長らしき人物がレジを締めながらか何かつぶやいている。

退出時間がすぎビルが閉鎖されてしまう。残っていた数人の客が動揺し慌ただしく扉から出ていき、私もついていく。

地下飲食店街はいつの間にか、大学の古びた学生会館の地下文化系部室になっている。文化系学生団体の連合会の代表か、自治会の役員のような学生が券のようなものを配っている。何かの証明書らしい。これを守衛に見せて裏口から出ねばならないようだ。3、4人の若者がとにかく外に出なければと動転しながら、この券を受け取っている。

しかし、すでにビルはすべてのドアにカギがかけられおり、守衛もやがていなくなる。チケットを配る学生もいない。私は地下室の暗闇のなかに今閉じ込められる。
by kamiyam_y | 2012-04-10 23:14