さっぽろ地下鉄のなかでマルクスを呼吸する、世界を呼吸する

生産手段の非理性的形態/フクシマ以降を考えるための書籍(2)

高木仁三郎『原子力神話からの解放』(講談社プラスアルファ文庫、2011年。初版は光文社、2000年)
神話を解体する諸論点。高木仁三郎は本当に真摯な科学者だと思う。

小出裕章・西尾幹二・佐藤栄佐久・桜井勝延・恩田勝亘・星亮一・玄侑宗久『原子力村の大罪』(KKベストセラーズ、2011年)
山本義隆『福島の原発事故をめぐって』(みすず書房、2011年)
川村湊『福島原発人災記―安全神話を騙った人々』(現代書館、2011年)
日本弁護士連合会公害対策・環境保全委員会変『原発事故と私たちの権利』(明石書店、2011年)
小出裕章『隠される原子力核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけ』(創史社、2011年)
影浦峡『3.11後の放射能「安全」報道を読み解く―社会情報リテラシー実践講座』(現代企画室、2011年)
安冨歩『原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語』(明石書店、2012年)

野口邦和『原発・放射能キーワード事典』(旬報社、2012年)
野口邦和監修・プロジェクトF『原発・放射能図解データ』(大月書店、2011年)
助かる資料集。

岩波新書からピックアップ。
石橋克彦編著『原発を終らせる』2011年
大島堅一『原発のコスト-エネルギー転換への視点』2011年
七沢潔『原発事故を問う―チェルノブイリから、もんじゅへ』1996年
高木仁三郎『原発事故はなぜくりかえすのか』2000年
武谷三男『原子力発電』1976年

武谷三男編『安全性の考え方』1967年
これも岩波新書だが古書。今こそ読まれるべき古典的名著。宇井純「水俣病」を読むと、有機水銀説を否定する御用学者の動員など、当時の構図が今回の原発事故でもそのまま再現しているのが分る。事故を起した加害諸企業と国家権力の混乱ぶり、大衆の分断と責任の曖昧化を図る欺瞞は、私的諸資本と公的権力の内部が徹底的に公開されるべきことを示している。「公開、自由の原則」の「重要」さは「公害」も「原発」も変わらない。

柴野徹夫『原発のある風景』上・下(未来社、1983年)
堀江邦夫『原発ジプシー 増補改訂版』(現代書館、2011年)
樋口健二『原発崩壊』(合同出版、2011年)
鎌田慧『原発列島を行く』(集英社、2001年)
いずれも読んでおきたい名ルポルタージュ。

小出裕章・後藤政志・石橋克彦・孫正義『意見陳述』(亜紀書房、2011年)
5/23の参議院行政監視委員会の会議録が出版された。私はネットでチェックしてたが。

NHK ETV特集取材班『ホットスポット』(講談社、2012年、1600円)
あの「ETV特集ネットワークでつくる放射能汚染地図―福島原発事故から2か月」(http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2011028150SC000/)が本にまとめられた。さすが七沢潔である。

NHK「東海村臨界事故」取材班『朽ちていった命-被曝治療83日間の記録』(新潮文庫、2006年)
これもNHK。

『科学』編集部『原発と震災―この国に建てる場所はあるのか』(岩波書店、2011年)
『科学』からの論文集。

岩波ブックレット
鶴見他編著『原発への非服従』
とくに奥平康弘の「日本の憲法文化において闘う」にあらためて考えさせらた。
ミランダ・A.シュラーズ『ドイツは脱原発を選んだ』
脱原発を選択した理念は、技術の《倫理性》として具体化されている。

蓮池透『私が愛した東京電力-福島第1原発の保守管理者として』(かもがわ出版、2011年)
内部関係者による脱原発の声は説得力がある。

河野太郎『原発と日本はこうなる』(講談社、2011年)
赤旗編集局『原発の闇』(新日本出版社、2011年)
前者は「しんぶん赤旗」も引用したり囚われない姿勢が良心的(そんなんあたりまえといえばあたりまえのことだが。1つの課題で共闘できない狭量な輩は「小児病」とよばれてしかるべきである)。後者は原発導入の史的経緯も読みやすいが、とくに興味深いのは「九電やらせメール」事件。

吉岡斉『新版 原子力の社会史 その日本的展開』(朝日新聞社、2011年)
有馬哲夫『原発・正力・CIA-機密文書で読む昭和裏面史』(新潮新書、2008年)
史的研究。後者は「第5福竜丸」で高まった原水爆反対の日本の世論を押さえるために米国が讀賣グループを利用し原子力平和利用のキャンペーンを拡げた経緯など興味深い。

水口憲哉『これからどうなる海と大地―海の放射能に立ち向かう』(七つ森書館、2011年)
海洋汚染を知るうえで水口の本は必読。

以上は手元にある原発関連書籍の一部にすぎず、紹介したい本はほかにも多くある。私が買った本もまた書店にある原発本のごく一部でしかなく、不完全な文献案内にすぎないことを断っておく。

雑誌も『世界』『東洋経済』『ダイヤモンド』『SIGHT』などにいい記事・論文が多くあった。
『サンデー毎日緊急増刊』も参考になった(「メルトダウン 福島第1原発詳細ドキュメント」 2011年6月25日号)。
『週刊朝日増刊 朝日ジャーナル 原発と人間』(2011年6月)、『週刊朝日増刊 朝日ジャーナル 私たちと原発』(2012年3月)も。
日本科学者会議『日本の科学者』という雑誌も面白い論考が掲載されている。

一番みたのはネットだが、紹介は省略。最後に3つだけ記録しておく。

押川正毅(東京大学物性研究所)「福島原発事故の危険性について」2011年3月25日
http://bit.ly/hPeUyF

西尾正道(北海道がんセンター院長・放射線治療科)「福島原発事故における被ばく対策の問題-現況を憂う」(医療ガバナンス学会MRIC、Vol.195、6月20日、http://medg.jp)
http://medg.jp/mt/2011/06/vol19512.html

岡山博(仙台赤十字病院呼吸器科・東北大学臨床教授)「放射線被曝問題と発言の仕方―健全な議論を妨げる日本社会―」(『日本の科学者』第47巻第4号、2012年4月)
http://hirookay.blog.fc2.com/blog-entry-28.html
(了)
by kamiyam_y | 2012-04-09 20:47 | 民主主義と日本社会