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原発利権の解体を(補足その2)

ソフトバンク孫正義が100億円と引退までの報酬を全額寄付 / ネットの声「総理大臣にしろ!!」(ロケットニュース24) - エキサイトニュース

100億円という私的所有物は孫さんの排他的社会空間のなかにありながらも、実は、私的諸労働の社会的集積の産物にほかなりません。それが孫さんの私的人格の私的持ち物とされ、自然物の重さ(円は金重量単位の貨幣名)として現れている。貨幣という社会的生産関係の束は、自己労働にもとづく対価として得た物として現れ、手腕や力量、抜け目のなさといった私的人格の個性に癒着しながら、またそうした偶然的な要因のあたかも結果であるかのごとくに現れながら、社会的承認の衣のなかに収まっている。

私的所有物100億円を義援金として支出することは、100億円のなかに隠れていた社会的力を被災地救援という社会的目的に役立つ現実に社会的なものへと転化することといえましょう。

といってもこの支出自体がまた私的所有物の処分として恣意、気まぐれという形にあることはかわりませんから、この寄付も、たとえば自分一人のための豪邸づくりや土地の買い占めに排他的に散財することと区別されません。法的にはおんなじ。私的所有は他者・社会を締め出すルール(規範)の縄であって、寄付でも無駄遣いでも貨幣の消費の仕方には社会はさしあたり無関心で関与しない。もっとも企業の私的所有のなかの生産過程に対して社会が介入することなしには現代社会は維持できないのではありますけど。

孫さんの内的動機を打算と邪推したり、良心と納得したりしたところでそうした憶測には噂話以上の重要性はありません。良心と捉えて連帯するならいいですが、カネのための偽善とみなして邪魔するべきではない。何かをやろうとしている人に対して、何もしない人が足を引っ張るようなことをしてはならない。100億円が孫さんの熱意を介して社会的に役立つ姿に転換したことだけが重要でしょう。100億円の効力は所持者の内面に依存しない。誰が持っても100億円。

私的所有物100億円で食い物を買ってそれを食べずに焼き捨てたりするなど貨幣を恣意的に排他的に用いることに対しては富者の義務という常識がたぶんこれを抑え(ましてや大災害のこの時)、「金は天下の回りもの」という常識がたぶん100億円の社会性を私たちに認めさせています。100億円支出する人が10億円支出する人の10倍の能力があるとか、10倍価値を生みだす高度な労働をするとか、10倍の時間働いたとか、誰も思わないように、才能や手腕や嗅覚や努力などとイメージされる自然人の資質という個別的偶然もまた100億円の取得に対して偶然として認知されてもおり、100億円の支出ができることが孫さんを取り巻く社会的諸関係に依存していることも理解されているにちがいない。

若者のボランティアでもそうですけど、自分のできることを社会的な行為として自覚して行おうとする精神が発揮されていて、社会の成熟を感じます。

それでも100億円にはたまげたざんす。100億円を義援金として出したことで孫さんの評価が高まることはいうまでもない。貨幣の大小が人間の器の大小に反映して見えるという物神崇拝が貫かれてもいるわけですが。みんなそれぞれできることをすればいいのだと思います。

孫さんには今まで関心なかったんですけど、今回の政府の対応に対する批判や反原発の意思表明に好感を抱かされました。「原発の真のコストパフォーマンスは最悪」って原発利権に絡めとられたメディアが言ってこなかったことじゃないですか。原発利権から自由な新しい資本もまた未来を担うように思えます。

名誉や批判などは覚悟の上!孫さん 活発な行動の真意を明かす(ITライフハック) - livedoor ニュース
Ustream.tv: ユーザー CNIC_JAPAN: 2011//4/3 ソフトバンク孫正義社長×田原総一郎 ゲスト 田中三彦、後藤政志
by kamiyam_y | 2011-04-04 18:08 | 資本主義System(資本論)