さっぽろ地下鉄のなかでマルクスを呼吸する、世界を呼吸する

菌を生かす労働過程の変革

労働過程の3要素は、生きた労働、労働対象、労働手段。労働対象と労働手段をあわせて生産手段とよびます。本源的な生産手段は大地。人間が森に働きかければ、木の実という素材を自然は提供し、さらに、大地は木の実をつぶして粉にするための石も与えてくれる、というように。

発展した生産手段は、労働の積み重ねであることがすぐにわかる。ある朝目覚めたら、背中に携帯電話が生えていたとか、道ばたにケーブルが生育しているとかいうことはありません。天然にみえる動植物も品種改良が加えられている。人類の歴史は労働手段のなかにある。

以上は以下の話のための復習。

『日経産業新聞』にサントリー酒類山崎蒸留所を素材にした記事がありました(「変革の起点」6月25日)。87年から2年かけて改良した工程の、最初の生産物が出荷されたという話でした。加工のプロセスを見直し、労働対象、労働手段の改良を行って、生産方法を変革したんですね。

新しい方法の成果が出るまで20年かかったってことなのかな。生産を始めたときに生まれた赤ん坊も大学生になってます。子育てよりも長い時間をかけて労働生産物を生産する。人間っておもしれ~な。

待つこと10年以上ととなれば、口を切る瞬間も厳かさを感じるのでしょうね。ともあれ、10年単位での労働です。

生産の時間には、人間が労働を加えずに、このように労働対象自身の熟成を待つ時間があります。酒づくりでは、人間が果実を踏みつぶすというような、人間の身体により直接対象を変化させる時間だけではなく、酵母が働く時間のような、労働対象の自然変化にゆだねているこの時間がとても長い。生産時間が建築物より長くなったりするわけです。

山崎の改良は、ステンレスの発酵槽を木製にして、菌類の働きを活かして香りを複雑にするというのがメインだったそうです。

つまり、ミクロフローラ、微生物たちの活躍が労働過程変革のポイントだったのでした。

さて、『もやしもん』8巻(石川雅之、講談社)が先々月に出ましたが、まだ買ってません。3巻までは読んだのですが。

ご存知ない方のために書きますと、菌と仲良しの大学生を主人公にしたマンガ。農業大学のとても自由な、あたかも企業社会から独立した学問都市みたいな空間に、ちょっと日常からかけはなれた教授に出会った学生たちがおりなす物語。

内田樹が大学と学問を語るなかでこの『もやしもん』をとりあげていて(『街場の教育論』ミシマ社、2008年、51ページ以下)、とくに論じませんけど、なかなか参考になりました。

ちなみに『ビッグ・イシュー』120号にも作者石川氏へのインタビューが載ってました。

おもったんですが、お肌をきれいにしたい人は、お肌がきれいな人から皮膚の菌を分けてもらうといいかも。方法はお好きに。

最後は軽いエロでまとめてみました。
by kamiyam_y | 2009-09-06 21:21 | 学問一般 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://kamiyamay.exblog.jp/tb/12277821
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]